セックスマシン

藤子・F・不二雄は、『ドラえもん』や『パーマン』で有名な漫画家だが、これらは所謂、少年向けに描かれたもので、一方で、青年向けに書かれたSF短編や異色短編も描いていて、今は文庫で手に入る。地上波でアニメ化されたこともある。ビデオも出ている。
"異色"というだけあって、『ドラえもん』などの明るいイメージには程遠く、暗い雰囲気で、子供なら絶対泣くような、嫌な雰囲気の作品ばかり。
人間社会を皮肉ったものもあれば、救いが無いような、暗い気持ちにさせるものまである。
一方でこんな漫画を描いているものだから、時々、少年向けの漫画にも影響が出ていると気付くこともある。
1993年公開の『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』はいい例で、人間社会の全てが機械化し、人間が楽になったと思ったら、機械が反乱。機械を倒し、街は焼け落ち、住民は1から、道具を作り出してきた石器時代から始める、といった内容だった。
"Don't depend on machine."をテーマに、のび太が終わりの方で、ドラえもんの道具には頼らない、と決意を述べている様を見るのは子供にとって感動を覚える場面でもあった。
この作品の中で出てきた機械の数々が今でも忘れられない。一生そこから出なくてもいい万能カプセル。食事も出来れば階段も上れる。これが衝撃的だった。機械にばかり頼って、体を動かさなくなるとこうなるぞ、という藤子・F・不二雄氏の警告で、当時子供だった僕には凄く効果があった。セグウェイ(ジンジャ)を見たとき、ああ、カプセル時代が来る、と思ったほどに、あの万能カプセルは頭に印象的に残っている。iPodの静電式パネルを触って、力を入れなくても操作できて便利だなあと思いつつ、こんな商品がどんどん出たら、人は筋肉を使わなくなるだろうなあ、とも思った。
同じ事を、参考資料の『ドリームラブチェアー』を見て思ったわけですが、何か微妙に違う気がしないでもない。
チャンチャン。