セックスマシン(続き)

では、「機械に依存した状態」というのはどういった状態を指すのか(論文口調)。
扇風機の羽根とカバーを水洗いして綺麗にした。そういえば、夏の実家での僕の仕事といえばこれだった。
前カバーを外し、羽根を止めているネジを外し、羽根を外し、後ろカバーを止めているネジを外し、後ろカバーを外す。どの製品も一緒。規格統一されているのかな。
だいぶ埃が付着していて、洗った後と前では風の量は桁違い。定期的にしないと駄目だね。人間も機械も、定期的なメンテナンスが効率を上げる。

これは2年くらい前に石丸電気で激安だったので購入したもの。タイマもアナログ。最近の扇風機のボタンはこうじゃない。ビニルでカバーされた、ボタンと言うよりもタッチパネルのような感覚のスイッチだ。
古い扇風機は強弱をボタンの高低で見分ける。新しいものは点灯したランプで分かるようになっている。

それでも、新製品でも、後ろの首振り切り替えボタンは根強く残っている。中にはパネルで切り替えられる扇風機もあるが、まだまだ少数だ。
さて、これらスイッチの仕組みを知っているだろうか。
"弱"を押せば弱い風、"強"を押せば強い風、"中"を押せば中くらいの強さの風が出る。どれかボタンが押された状態で他のボタンを押すと、先に押されていたボタンをオフにする。同時に2つ以上のボタンを押すことは出来ない。"切"を押すと全てのボタンをオフにする。首振り切り替えスイッチを押すと首を振る。引くと首振りを止める。
見た目は非常に簡単だ。単純なボタンなのだから子供でも操作できる。しかし、中身はどうだろう。単純なボタンを並べただけではこういうシステムは実現できない。状態を保存しているのだから、電子回路でいうフリップフロップだ。しかし、トランジスタで実現しているわけではない。ばねを使う。ボタンの下に少し工夫した構造を組み込む。さて、その工夫とは。
単純なものでも、身近なものでも、きっと知らないものは多いだろう。知らずとも使える。それはブラックボックス化が成功しており、年寄りがテレビは使えてもパソコンを使うのに抵抗がある理由に通じる。
ところが僕達はそれじゃあ良くない。知らぬで済む世界にいるのならそれで良いが、少なくとも僕はそうじゃない。知らない事を見つけたら1分でも早く解く。確認が無理なら、最も正解に相応しいであろう解を導いて、必ず証明できるように努力する。
知らないという事が、機械に依存している、という事である。
ドラえもん のび太とブリキの迷宮』の機械社会の人間達は機械に頼った。機械は人間が手を動かさずとも仕事をしてくれた。人間達は、ナポギストラー1世の中身が、考えていることが分からなかった。その結果、街は燃えた。
この世にある全て、何でも構造を理解しよう、という姿勢は疲れる。周りの不思議を1つ1つ理解しよう、というような気楽な姿勢で良い。それが人だ。機械に使われてはいけない。機械を使おう。