得手不得手

2ちゃんねるのスレッドを見ると、『Winnyの技術』PDF版をわざわざ印刷して*1読む人がいるらしい。
高校生の頃、『エキスパンドブック』のブラウザと『T-Time』、書籍データが収録されたパソコン雑誌を買った。
最近は雑誌にそういう物は収録されていないようなので、当時多分出来立てか、ブームだったのだと思う。
まだインターネットに繋いでいない頃だったので、そういうサービスがある事も全く知らず、本を借りるか買うかしないと読めないと思っていた、数々の小説が無料で、パソコンで読めると知って驚いた。
雑誌収録のビューワでは印刷が出来なかったので、自分のノートパソコンで毎日読んでいた。多分、パソコンで長い文章を読むことに慣れたのはその頃だろう。パソコンを買ってもらったのが、高校1年春。すぐにそういう訓練をしたことになる。
今は、携帯メールの普及のためか、若者の活字離れは騒がれなくなり、ネット小説に人気が集まったり、ネットの長文に慣れた人も増えたと思う。
それでも、『電車男』などの最近頻発している書籍から分かるように、ネットで全文が読める上に、全く編集も掛けず、ただコピィ&ペーストで印刷したような本が出回っている。
データ化するというのは、良い点が多い。本で見れば、フロッピィやUSBメモリに入れて持ち歩けるし、本棚に納める必要も無い。使い方さえ正しければ、文字のコピィも出来る。捨てるときも、ただデータを破棄するだけで良いので、ゴミも出ない。
それでも、紙の本が無くならないのは、懐古主義の頑固屋がいるのか、単に訓練すれば何とかなる事を放棄して甘んじている人が多いのか。
ところで、いつかは紙の本が無くなると信じて、これからパソコンで文章を読む訓練をする人は、青空文庫で短編小説や短エッセィを探すと良い。
芥川竜之介や、萩原朔太郎など口語体の文章から始めてみてはどうだろう。いきなり夢野久作などから入ると、続かないと思う。勿論、好きな作家から入っていけば良い。
作家名で検索すると、こんな人もこんな下らない事を書いていたのか、と驚かされることが時々ある。全集にしか収録されていないようなちょっと貴重な文章も公開されているのは、嬉しい限りだ。

*1:デフォルトでは印刷不可設定になっているが、バイナリエディタがあればどうにでも出来る