失敗を隠すな

12月3日放送『爆笑問題のススメ』のゲストは評論家の小林信彦。評論家が評論の対象と話をしてどうする、と思ったら『東京少年』の著者として。
でも、話の初めは、和気藹々と眞鍋かをりを批評したり。笑顔の素敵な人だ。
メインテーマは「時代観察のススメ」。少し実際の話のテーマとはずれていたかもしれない。
昔の人は戦争を語らない。戦争が間違った事だとし、未来に残すべき事ではない、子に伝える事ではない、と判断した。だから、戦争を正しく書いた文章は少ない。
当時の日本人は、戦争が正しいと思っていた。当時は、戦争が正しい事が常識だった。
しかし、敗戦によって正しさを否定された。戦争を正しいと思う事が、非常識とされた。
非常識な事は未来に伝えない。間違った事は隠す。正しい事だけを伝える。
それが本当に正しいか。
間違った事を一切見せず、正しい事だけに触れさせた子供が、果たして正しい人間になるだろうか。言い切ろう。間違いなく、ならない。
正しい事だけを伝えるという事は、疑わせないという事になる。常に正しい事だけを見るという事は、常に片方の側面だけを見続けることになる。そんな環境で、正しい事しか見ていない子供が、疑わない子供が、正しくなんてなれるものか。
正しい事だけを見せる、というのは、所謂、"事なかれ主義"と同じだ。間違った事を無かった事に、正しい事だけが在ったかのように。
戦争を体験して分かった事があるだろう。誰でも、間違って初めて分かった事があるだろう。常に正しい事をしていたか。そんな完璧人間は居ない。だけど、成功している者がいる。成功者は常に正しいか。成功者だって間違えるし失敗する。
間違いや失敗を隠す気持ちは分かる。誰だって恥ずかしいと思うだろう。だけど、それが自分の糧になった事を忘れてはいけない。それが、自分の成長の記録で、自分の間違いや失敗に対する礼儀だ。