女だとか男だとか

森博嗣ナ・バ・テア』読了。
前作『スカイ・クロラ』で、カンナミのボスだったクサナギが主人公。
スカイ・クロラ』の表紙が青(青空)に対して、『ナ・バ・テア』は橙(夕焼け)。
クサナギとティーチャ。「子供」と「大人」。「女」と「男」。
舞台である基地では、女性が珍しかったらしく、女性のクサナギは色々な所で「女」を意識させられる。
僕は、冗談や仕事を除いて、男女を区別することは無い。ネットでも作家でも、性別を意識したことは無い。mixiなどSNSで性別入力必須なのは正直な話、不満だ。入力の度に、何でわざわざ明示しなければならないんだ、と思う。自由に書けるプロフィールならば、性別はほぼ100%書かない。年齢は、話題作りのため載せる事があるが、性別で話題を分ける気は無い。
だが、世の中全員がそう思っていない様だ。この小説内の幾らかの場面で、基地での経験が浅かったんだろう、男は女であるクサナギを意識したり、女であるクサナギもまた、自身が女であること、ティーチャが男である事を意識している。瑣末な事だと思うが、同種の生物として生まれた段階で、まず分けられる項目が性別である以上、性別を意識する事は仕方の無いことなのかもしれない。
キルドレの解説は前作でほぼ書かれているが、今回はキルドレによる妊娠・出産が絡んでくる。少々、重い話に感じるが、今作が前作の過去の話という事を意識すれば、中々楽しみ。
相変わらずの詩のような文体で、滑らかにスピード感のある文章のおかげで、読者も飛んでいるような感覚で、さらさらと読める。登場人物の動作一つ一つも頭に映像として浮かぶ。脳で緊張感まで再現している様だ。
次作が文庫化するのは、『森博嗣の浮遊工作室』*1の予定表を見ると、また約1年後らしい。待ち遠しい。


ナ・バ・テア

ナ・バ・テア