物語を完結させるという事
「原作:大塚英志」と書いてある漫画を見ると、ちゃんと完結してくれるのか、と不安に思う。
例えば『MADARA』シリーズも完結したのか実は分かっていない。物語の終わりを見ていない気がする。
『多重人格探偵サイコ』も何年も続いて未だ完結していないし、「原作:大塚英志」の漫画はまだまだ幾つも雑誌に連載している。
大塚英志『僕は天使の羽根を踏まない (徳間デュアル文庫)』『ロリータ℃の素敵な冒険 (徳間デュアル文庫)』を読了して、思った。
大塚英志は、僕らに合わせて物語の続きを出しているのかもしれない。
かつて少年・少女だった僕らが見ていた物語が、僕らが大人になった時に1つの完結を見せる。傲慢か。考え過ぎか。
作家がどう考えているかは、まあ、読者には分からないし、置いておこう。
人の心の、ちょっと変な箇所に対して、"来歴否認"や"多重人格"など、名前を付けることが出来る。それが正しいかどうかは別にして。
だけど、誰でも心にそんな変な箇所を持っていて、もしかしたら今でも名前の付いていない変な箇所があるかもしれない。名前なんて所詮そんなものだ。
そういう心に変な箇所を持つものが集まって、『MADARA』や『サイコ』という物語がある。
どれも、フィクションの物語なのに、時々現実を見せてノンフィクション性を持たせて物語を展開する。
ノンフィクション性を持つからこそ、"完結"なんていうフィクション性が薄くなり、"次"や"現実"がいつまでも続くような感覚になる。
"現実"も"世界"も不自由なのは当たり前。だから、こういう不自由な物語があっても良いだろう。
物語に触れられたという事。今はそれで充分。
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