受賞作を読む

舞城王太郎阿修羅ガール (新潮文庫)』読了。
帯には、「三島由紀夫賞受賞作!!」とある。
そう、これは舞城王太郎が『煙か土か食い物』で受賞した第19回メフィスト賞以外の受賞作品。
成る程。読んで分かった。
確かに、舞城王太郎のドライブ感は健在。勢いがあるし、会話文も地の文もスピードがある。
しかし、明らかに、一般受けする様に書かれていると思った。
それがどの辺かと言われると、ポイントとして明示できないが、第2部の「三門」は特にそういう雰囲気を感じた。
エグさも深みも奥行きもあるが、それが講談社ノベルスで書いている様な、例えば奈津川家サーガにある様な雰囲気とは少し違う。本当に些細な違いかもしれない。
だが、やはり舞城王太郎の小説だった。
表題作『阿修羅ガール』は勿論最高だったし、その後に続く特別収録『川を泳いで渡る蛇』で静かに収まる高揚感。とても良い構成だと思った。
恋をして、あっちに行って、自分の内側を見て、他人の内側を見て、こっちに居る。
これも青春小説。

阿修羅ガール (新潮文庫)

阿修羅ガール (新潮文庫)