殺人実録(事実か如何かは別にして)

新潮文庫編集部『帝都東京 殺しの万華鏡―昭和モダンノンフィクション 事件編 (新潮文庫)』読了。
昭和7年創刊、昭和20年廃刊となった新潮社『日の出』に収録された記事を選出&編集したノンフィクション事件集。
8つの事件と4つのコラム&座談会が掲載されている。事件は昭和9年から昭和12年の『日の出』に掲載された事件。コラムや座談会は警察、裁判官、医学博士などが登場している。
事件記事は、現場の1人の警察官の一人称で語られる。事件発生から解決まで、あくまで警察の立場で描かれ、中には失敗に悔やんだり怒ったり、個人の感情も描かれている。中々リアルに伝わってきて、読んでいて飽きなかった。
昭和も今も、変わらないなと思った。男女関係のもつれでも狂人でも知能犯でも、誰かが事件を起こすし、事件が起これば解決のために組織が動くし、事件が解決してからも裁判があって判決が下る。「激動のノンフィクション」というよりも「不変のノンフィクション」。微変くらいはあるだろうか。HardwareやSoftwareの進化はあるから。
久しぶりに昭和史に触れた。「終わらない昭和」があったとしたら今年は昭和81年。勿論、そんなものは無いわけだけれど。

帝都東京 殺しの万華鏡―昭和モダンノンフィクション 事件編 (新潮文庫)

帝都東京 殺しの万華鏡―昭和モダンノンフィクション 事件編 (新潮文庫)