ふざっ……

西島大介アトモスフィア〈1〉 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)』『アトモスフィア (2) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)』読了。4月に上野で『1』を買って、『2』が出てから読もうと思っていたのだが、発売日以降何処にも『2』が売っていなかった。大学生協で別の本を注文する時に思い出し、一緒に注文して漸く読むことが出来た。やれやれ。
全てを笑い飛ばし、赦し続ける主人公。突然ドッペルゲンガの様な自分の分身が現れ、居場所を奪われ、同様の境遇に居る者達と出会う。分身現象は、世界規模で起こり、分身の分身が現れる現象に発展する。
日常から一気に乖離するスピード感、静かな狂い、1枚絵の様なイラスト風のコマで構成されているのは相変わらず。余白の使い方も面白い。子供向けではないストーリィ。
「すべてを赦す」という姿勢。赦すという事が、批評しないという事ならば、『土曜日の実験室―詩と批評とあと何か (Infas books)』に対する自身による否定と取るべきか。主観的に見、主観的に流し、主観的に笑う。個人の存在価値としてはそれで十分、という事か。
オチをどう解釈すべきかな。「赦してあげる」か「ふざけるな」か。とりあえず言えるのは、「ふざけてる」「ありがとう」。

アトモスフィア〈1〉 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

アトモスフィア〈1〉 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

アトモスフィア (2) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

アトモスフィア (2) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)