半田ごて探索記

研究室で半田ごてを使う事になり、柏でうろうろとどこかに売っていないか探したのだが、結局見つからず、アパートに割と近いホームセンタで購入した。それでも、こて台が売っておらず、いや、台は灰皿でも手に入れればどうにでもなるのだが、こて先払拭用耐熱スポンジが無いのは少々困る。
ところで、僕の実家はそんなに裕福な家ではなく、食べ物を貰う際に「一つだけちょうだい」と何度も言う事が口癖となった僕を見て母はさめざめと泣き、僕の毎日の遊びは自分の影の残像を空に投影するかげおくりだった。まあよくも今まで、少々欠落や脆弱性があるものの、まともに育ったと思う。
そんな実家には珍しく、父の趣味だったか、色々工具が揃っていた。半田ごては勿論、各種計測機器など、日曜大工以上研究未満の事をするには十分の環境があった。その流れか、僕も割と早い段階で道具を使う事を覚え、工作はかなり幼い時から今まで、ずっと続けている。馴染みのホームセンタの何処にどういうものが売っているか、よく知っていた。ただ、お金が無かったので、電子部品を手に入れて云々という事は、大学に入ってからもあまり出来なかった。結構お金の掛かる趣味なのだ。
だから、道具が手に入れられない環境が不便で仕方ない。半田ごて1つも中々買えなかった今日は、不便に思ったし、不思議だと思ったし、不憫だと思った。
もし、柏で、電子工作に興味を持った子供が居たら、ちゃんとすぐに道具を得る事が出来るのだろうか。大人は与えられるのだろうか。環境で興味が制限される事は、悲しいし、非常に勿体ない。
モノはどうしてもモノとしての物的制限を持つので、データの様にアクセス環境を整えるのは難しいだろうが、それでも、そういう格差がある事は、必ずマイナスを生んでいる。服だの靴だの似た様な店を建てている暇があったら、もっと無いモノを置いて欲しい。
ま、夏には柏高島屋東急ハンズが入るはずなのだが。