電話番号を書いて

今からだいたい17年くらい前、高校2年生だった僕は当時仲の良かった女友達と遊園地に遊びに行ったのだけれど、そこで偶然変な商談を目撃した事で襲われ、妙な薬で小学1年生の体にされてしまった。それから、今の僕の両親と言う事になっている、探偵業を営んでいた夫婦の家庭に入り込み、今に至るのである。
バーローな冗談はさておき、まだ僕が小さかった頃のある日、実家の窓硝子に実家の電話番号を父がペンキで書く事になった。勿論、目的は家の外側に向かってその電話番号を知らせるためだ。
向いている方角が違う窓2枚に書く事になっていて、1枚目に電話番号を書いた時、4桁の市外局番まで書いて、「市外局番は書く必要無かったかもね」と話をしたのを覚えている。何故なら、この窓を見るであろう人達の持つ電話は、ほぼウチと同じ市内に限られるだろうと考えたからだ。
今はこの考えは通用しない。当時の僕は、人が持つ電話=人が住む家/部屋に置いてある電話、だと思っていた。しかし、今は、人が持つ電話=個人の携帯電話、というのが常識になっている。そこに市内か市外かという考えはない。個人内か個人外かという違いだけがある。
Webが広まって、情報共有時代だのユビキタス社会だのが来ると言われていて、多分完璧ではないにしろ似たようなものが将来浸透するのだけれど、不思議な事にか必然か、色々なものが共有されながら、個人を定義し易くなった。古くからの家だの村だのというドメインから、個人というドメインが使われるようになった。
というものの、やっぱり個人だけで動くには、難しい世の中なんだよね。研究とか。