親は子を殺す

子供の時は親が怖かった。というより、全ての大人が、大人全体が怖かった。
僕は親に捨てられるかもしれないし、殺されるかもしれないと思っていた。と書くと、誤解を生みそうだが、単なる僕の妄想で、のび太の親はノンビリしていて手も適当だから子を殴っても何とも無いだろうし、星一徹ガリガリで子を殴っても精々チビの星飛馬が倒れるくらいの威力しかないと思っていた。しかし、うちの親はとても大きく見えた(事実大きかった)ので、殴られるか捕まれて落とされたら間違いなく死ぬと思っていた。僕が眠っている間に、僕を料理する計画や捨てる計画を楽しく話しているのかも知れないと思い、震えた事もあった。そして、次の日の朝には母の作った朝食を美味しく食べ、父に朝の挨拶をした。
大人に対する無条件の恐怖というのは、誰もが持っていたと思う。だから、誰もが何となく大人に逆らう事は怖い事、あるいは悪い事と思い込み、時にそれが事実であったりして、何となく大人と子供の関係が上手くいっていたのだと思う。
今は、テレビなどのメディアによって、大人の立場というものは失墜している。子供は、大人は怖くないと感じているだろう。だから、親を殴る事が出来るし、援助交際はアルバイトだし、成人式で暴れられる。
メディアが悪い?親が悪い?