お守りの中の

母が死ぬ直前に、どうしても辛く耐えられない時が来たら中の手紙を読みなさい、と言い渡したお守りを大事に持っていて、ある日、友人にその話をしたら、手紙を読んでみようという話になり、母が死んで何年も経っているからまあ良いやと思い、お守りを開けてみると、震えた字で「死ね」と書かれていた。
という話を思い出したが、これをポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかで、その人の人生観の一部が分かると思う。
初出が分からないが、「育美、死ね」のタイトルで割と知られている様だ。
ポジティブ側の意見(想像)。字が震えているのは、母の切羽詰まった思いが表れている。死ぬ気になれば辛い事も乗り越えられる事を伝えたい。または、今の辛さは死の辛さより軽い事を伝えたい。
ネガティブ側の意見。死ねば辛さから解放される。または、あの世で母が待っている。
後味の悪い物語は嫌いでは無いが、いつも読みたいとは思わない。