読んで良かった編集術入門書
松岡正剛『知の編集術 (講談社現代新書)』を読んだ。サブタイトルは「発想・思考を生みだす技法」
「術」とか「知識」とか「情報」とタイトルに付いた新書はあまり好きではなかった。それは過去の経験に依るもので、あまり良い本に出会わなかったからだ。
ところが、この本はそんなトラウマを吹き飛ばすほど面白かった。
この本で言う「編集」とは、非常に広い意味で使われ、所謂「情報処理」である。皆が常に情報を受発信しているこの世の中で、上手く情報を扱う事が出来る情報処理術を「編集術」と呼んでいる。
序章「はじめに」に於いて、以下の「編集の方向」が挙げられている。
この本は編集の「入門書」と位置付けられている。
- 編集は遊びから生まれる
- 編集は対話から生まれる
- 編集は不足から生まれる
- 編集は照合である
- 編集は連想である
- 編集は冒険である
編集の概念、概要、「要約編集」と「連想編集」、他の編集技法、編集の実例、総まとめ、という構成になっており、それ程難しいとは感じないレベルで、段階的に編集術を学ぶ事が出来る。
本文の途中に随時「編集稽古」という練習問題が挿入され、これまでに読んだ編集術の実践訓練をする事が出来る。当然、後半の「編集稽古」になるほど難しくなっていくので、中々手応えもある。
「情報の時代」、「編集の時代」、「Web 2.0」、「関係性の時代」、と色々な言い方こそあれ、つまりは情報を上手く扱っていかないとこれからの時代は歩んでいけない。
情報が巨大化・肥大化し、多様化し、情報が一人歩きをしてしまっては元も子もない。
これから、僕達はどの分野に居ても、情報を上手く処理し、活用して社会を生きていく事になる。
その処理方法(術)は、これまでのように経験で得た様な曖昧な方法では恐らく何処かで躓く事になるだろう。もしかしたら、もう躓いているのに、気付いていないだけかもしれない。
少しのことにも、先達はあらまほしき事なり*1。
- 作者: 松岡正剛
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/01/20
- メディア: 新書
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