乙一久々短編集

乙一ZOO 1 (集英社文庫)』読了。第1巻は映画化された5編をまとめたもの。映画は懸賞で当選した試写会で見た。2004年12月3日だから、もう約1年と半年前。
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『カザリとヨーコ』。黒。母親からの扱いが全く異なる双子の姉妹の話。主人公は虐待を受け、みすぼらしい格好をしている姉。妹は母親に可愛がれ、いつも綺麗。「おっしゃー!」
『SEVEN ROOMS』。黒。突然殺人鬼に襲われ、コンクリートで囲まれた部屋に閉じ込められた姉と弟。コンクリート部屋には弟が潜ってやっと通れる溝があり、7つのコンクリート部屋が溝で繋がっていた。1日に1部屋で殺人が行われ、再び空となった部屋に被害者が補充される。その繰り返し。「弟には指一本、触らせない!」
『SO-far そ・ふぁー』。白と思ったが黒かも。母親か父親のどちらかが交通事故で亡くなったらしい。主人公の息子には両方が見える。母親が亡くなった「父親の世界」か、父親が亡くなった「母親の世界」か。どちらかの世界に属することを選ばなければならない。「ぼくは科学が好きだけど、世の中にはそれで解明できない不思議なものはあるのだ。」
『陽だまりの詩』。白。病原菌によって世界中のほとんどの人間が死んだ世界。ある男と、男の死を見取るために作られた女の子型ロボット。自然溢れる穏やかな丘の上の小屋で、ロボットは死を学び、真実を知る。「……私はあなたを恨みます」
『ZOO』。黒。毎朝、郵便受けに彼女の死体写真が入っている。写真はすでに100枚以上に達し、彼女の変化を表していた。殺したのは自分。それを否定せず、肯定もせず、毎日彼女を殺した犯人を探す演技を繰り返す。「犯人を探し出す……」
『対談 古屋兎丸×乙一 天才は深夜ラジオで作られる』(文庫版特別収録)。古屋兎丸は『陽だまりの詩』の脚本、絵コンテ、キャラクタデザインを担当した。『陽だまりの詩』の制作裏話、お互いの分野の話、萌えの話、深夜ラジオ『伊集院光 深夜の馬鹿力』の話、などなど。両氏とも、「良いものを作ろう」「良いものに触れよう」という姿勢が格好良い。
第2巻はまた今度。

ZOO 1 (集英社文庫)

ZOO 1 (集英社文庫)