銀行員妻の憂鬱

研究室の本棚には、きっとお金がある時代に予算合わせのために購入したんだろうなと思わせる、おかしな本がたまに置いてある。
いっそ整理のために誰も読まないであろう本はばさっと捨てるべきなのだけれど、本として置かれている以上、そうは問屋が卸さないというか、一度位目を通しておきたくなる。

はみ出し銀行マンの家庭崩壊 (角川文庫)

はみ出し銀行マンの家庭崩壊 (角川文庫)

研究室には単行本版の『~妻たち~』が置いてある。『~家庭崩壊』はその文庫版。
横田濱夫といえば『はみ出し銀行マン』シリーズでお馴染みの人で、妹が実家を出るまでに読んでおくべき本リストの中に、彼の著作を1つ入れておいた事を覚えている。
『~妻たち~』は銀行員の妻達から寄せられた手紙に対してコメントを書きながら、当時の風潮を笑う、というスタンスで書かれており、横田がずばっと書いたコメントも良いが、手紙の内容が面白い。
精神を病んだ夫や息子、浮気に走る夫、上司や世間に怯える夫、など、色々な妻から見た夫が出てくる。何となく手紙の調子が嘘臭いので、作り話かもしれないが、まあそれはどうでも良い。
出版されたのは今から約15年前。バブル崩壊から1年後。当時の空気を知らないと理解しにくい場面はあるものの、今でも、銀行員じゃなくても、働くって大変なんだろうなあと思う。