ノモンハン

実家の母は村上春樹ねじまき鳥クロニクル』を読んでいるらしく、「第3巻が売っていない」と言っていた。
1997年に文庫化されているし、メジャな純文学なので、売っていないはずは無いのだが、まあ田舎だから10年程度の時間差はあってもおかしくは無い。来月には酒鬼薔薇聖斗事件でテレビが大騒ぎし、夏には『もののけ姫』ブームが来るんだろう。情報格差恐るべし。
さて、母からそんな電話があって、『ねじまき~』をぱらぱら読み返していたら、連想するのは舞城王太郎『暗闇の中で子供』とか佐藤友哉クリスマス・テロル』であり、ファウスト世代にインスパイアされているシーンも多々あって、そうか文章というのはこうやって進化するものなのだな、と作家と読者の10年の変化を感じていた。
悪である綿谷昇の存在も気持ち悪いが、皮剥などの黒い描写も、村上春樹作品には珍しい。